令和6年3月22日(金)、体育館で終業式を行うことが出来ました。長いコロナ禍や天候の影響などで、リモートによる始業式や終業式が続いていましたが、いよいよこれからはこれが当たり前の式になるのでしょう。また、世の中も本格的に動き出してきました。今回は、その終業式での挨拶を元に述べてみます。
 ここ数年間はあらゆる学校の教育活動が新型コロナウィルスの影響を受けてきました。校長の話はなかなか覚えてもらえないのが相場なので、折に触れ何度も繰り返して言い続けたことは「伝統の継承」と「未来の創造」でした。先ずは、コロナ禍で途絶えたものを「いかにして、何をどこまで復活させるか」という課題でした。教職員一同、生徒一同、前例を発掘しながら、次々と様々なものを復活させ実施してきました。これらについてはその都度紹介してきましたので今回は略します。そして、現在は「新しい魅力として何をどのように作って行くか」という課題が進行中です。しかし、その前に一つ確認しておきたいことがあります。『老子』に次のような言葉があります。
「 千里の行も足下(そっか)より始まる 」
(どんな遠大な計画でも、まず手近なところから始まる。)
 新しい物事にチャレンジしてほしいですが、その前に自分の足元を見てください。自分が将来に向かって伸びていく基礎はできているか。学習や資格取得に対する取り組みはどうだったか。部活動や課題に対して地道に努力してきたか。そこを疎かにして成功はあり得ませんね。春休みは自分の足元を固めて将来への準備を始めましょう。
 そして、チャレンジを始めたとしましょう。でも、うまくいかないことは世の常です。そんなときはこんなふうに考えてみませんか。
「 果報は寝て待て 」「 待てば海路の日和あり 」「 人事を尽くして天命を待つ 」
 いずれも頷けるものの、微妙にニュアンスが違いますね。私は、「十分努力した上で結果を待つ」しかも「結果」といっても「良い結果」ならば喜び、たとえ「悪い結果」であっても反省材料として次に活かす、という点で3つ目のことわざを支持します。チャレンジ精神、忍耐力、前向きな姿勢が必要といったところでしょうか。
 さて、今年は5月にコロナが5類に移行したおかげで、出張も多くなり、多くの人との付き合いが増えてきました。夏には振商会の東京支部と大阪支部に出かけて卒業生の方々とお話をしました。中には、「春には松商に求人に行くから待っていてください」と言われる社長さんもおられました。また、市内で、「今年は大卒ばかりでなく、高卒を採用したい」と言われる方もおられました。共通するのは、松商の生徒のイメージが、挨拶がきちんとできて簿記などの資格を持っており即戦力になる、というイメージだということです。これは先輩達が作り上げてくれた財産であり、襟を正し受け継がなければならないことだと思います。
 3年生が卒業して、これからは1、2年生の皆さんが学校生活を支えていきます。来週には新入生オリエンテーションが開かれ、たくさんの生徒がやって来ます。しっかりと導いてあげてください。新入生に対して恥ずかしくない先輩としてどうあれば良いですか。これからは今までよりも地域や学校外の人との関係も多くなってくるでしょう。それだけ新しい出会いもあり、チャンスも広がってくるでしょう。あなたはどんな未来を想像しますか。春休みの宿題として自ら考え、決意も新たに新学期がスタートでき、令和6年度がさらなる飛躍の年になることを願っています。
 最後に、私ごとで恐縮ですが、今年度をもって松江商業高等学校の校長を、同時に島根県商業教育研究会の会長を退職することとなりました。縁あって明治以来120と余年の長い伝統ある松江商業高校に勤務し、特色のある商業教育に携わることが出来たことを光栄に思っております。コロナ禍という前代未聞の環境の中で、本当に多くの方々のご理解とご協力をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。これからの益々の発展を祈念して結びとさせていただきます。どうもありがとうございました。