「一学期を振り返って 展示と式典」
皆さまにおかれましては平素より本校の教育活動にご理解とご協力をいただき、厚く感謝申し上げます。振り返りますと、昨年度までは新型コロナウィルスの影響で学校生活にも様々な影響があり、生徒達は臨時休校や部活動制限などでなかなか思うように学校生活が送ることが出来ませんでした。それまで当たり前にできていたことが実は当たり前ではなかったのだということに空しさも覚えました。さらに3年という歳月は中学や高校生活が3年間であるということを考えると、学校行事などで先輩から後輩へ引き継ぐ事が出来ない、つまり伝統が途絶える危機にあるということになります。コロナ以前の高校生活を知らない世代が在学しています。この状況を踏まえて、今年度に強く意識するのは「伝統をいかに継承するか」「未来をいかに創造するか」ということです。
開校記念日にあたる5月30日には、明治33年開校以来の写真や文書などを展示している「松商Hitory室」と、本校に在籍した版画家の作品を展示している「平塚運一版画館」が開放されました。生徒による課題研究班の一つの班が案内のチラシを作ってPRをしてくれました。先達の偉業を在学生たちが知る良いきっかけになりました。今後、瑞木祭やだんだんフェスタなどの折にも皆様に見ていただけるよう考えています。
また、7月8日にはコロナ禍で延期を余儀なくされていた「一般財団法人振商会創立60周年記念式典」が盛大に開催されました。一般財団法人振商会の皆様方には、特に奨学金制度、部活動表彰、振商会館の利用等々、学校生活全般にわたって多大なるご支援とご協力をいただいております。そして、同じく3年前には出来なかった「島根県立松江商業高等学校創立120周年記念祝賀会」「振商会創立120周年記念祝賀会」「一般財団法人振商会創立60周年記念祝賀会」を併せて開催することが出来ました。お集まりの方々は待ちに待った祝賀会ということで旧交を温め、しばし時を忘れて歓談にふけっておられました。また、DVD上映を通して、本校開校以来の数々の変遷と、脈々と受け継がれている先達の偉業に触れ、ただただ頭が下がる思いでした。
さて、一学期の状況を一言述べますと。今年度は学校生活もほぼ通常通り動きだし、勉強や部活動に打ち込む元気な姿が見られるようになりました。高校総体では、女子バドミントンが団体優勝、さらにダブルス1ペアとシングルス1名が全国大会インターハイの出場権を獲得しました。総合成績も順位を上げ、女子総合は昨年の4位から今年は3位、男子総合は昨年の20位から今年は16位、男女総合は昨年の8位から今年は4位に向上しました。あと2点で3位というところでした。輝かしい過去の記録を見ると、近いところで2018年に女子の総合優勝があるので、そろそろ、令和の時代に総合優勝の名を記しても良いのではないかと期待しています。そして、水泳部がバタフライ200㍍で大会新記録を出して中国大会へ(その後、全国大会へ出場)、陸上競技部、女子バスケットボール部、女子サッカー部、男子ソフトテニス部、弓道部、剣道部、卓球部、男女バドミントン部が中国大会に出場しました。これだけたくさんの上位大会出場は近年にはなかったのではないかと思います。その他の部活動も、ベスト4やベスト8等、自分たちの掲げた目標に向かって向上し、全体的なレベルアップや個人の活躍も目立ってきたように感じています。また、ビジネス計算競技大会珠算の部で個人1名が、また簿記競技大会では団体1位で全国大会出場権を獲得し、成果が上がりつつあります。これを弾みにいい意味で連鎖が広がって行くと良いと思います。
120周年記念式典の折には、「不易と流行」と言う言葉が紹介されました。江戸時代の俳人、松尾芭蕉にまつわる「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」と言う言葉は、即ち、「不易」という変わらないもの、いつの時代にも軸となるものの上に、「流行」という進取の気風を積極的に取り込むことが大切だということです。私はさらに、「温故知新」という言葉で生徒たちに語りかけています。漢文で読み下すと「故きを温ねて、新しきを知る」となります。元は論語という書物にある言葉ですが、「故きを温ねて、新しきを知れば、以て師たるべし」と続きます。「師」というのは「先生」のことで、「人の師(先生)になる資格がある」という文脈です。この際、少し拡大解釈して「新しい時代の先達・リーダー、開拓者・パイオニア」になると言いたいところです。
私たち生徒・教職員は、諸先輩方が連綿と築いてこられた輝かしい歴史とよき伝統・校風を受け継いでいくとともに、地域の期待と時代の要請に応えるべく、新たな歴史を刻み、夢と活力あふれる学校づくりに邁進していく所存です。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。